2010年7月9日金曜日

フラメンコギタリスト沖仁さん スペインの国際コンクールで日本人初優勝

本日の夕刊ニュースソースより、古い友人たちのあいだで大きな喜びをもって転送されてきたニュースを紹介します。

日本人フラメンコギタリストの沖仁が、7月7、8日の両日、スペインのムルシアで行なわれた<第5回ムルシア“ニーニョ・リカルド”フラメンコギター国際 コンクール>国際部門において優勝した。日本人としては初の快挙。当日は、沖の演奏に約500人のスペイン人の聴衆が熱狂した。

◆沖仁 画像@<第5回ムルシア“ニーニョ・リカルド”フラメンコギター国際コンクール>

このコンクールは、スペイン3大ギターコンクールのひとつに挙げられる程の権威のあるもの。古典フラメンコギターの神様的な存在、ニーニョ・リカルドにち なみ、歴史は5年と浅いながらも一流の審査員がそろう非常にレベルの高いコンクールだ。通常スペイン人ギタリストを対象とするのに対し、国際部門を設けて いるのが特徴で、過去の受賞者には現在のフラメンコギター・シーンをリードしている実力者も。

コンクールは、書類とデモの審査で8人がセミファイナルへ進出し、うち5人がファイナル進出。その中からスペイン人部門で1位、2位と、国際部門で1位が 選ばれる。今回2008年に続き2度目の参加となった沖は、決勝でアルゼンチン人のギタリストと競い、鬼気迫る演奏を披露。見事、国際部門1位に輝いた。

「僕は、いつも初めてフラメンコギターを聴く人にもその魅力を伝えたいという思いで演奏活動をしています。でも、その一方でフラメンコの伝統は重く深く、 生涯をかけても吸収しきれないほどで、絶えず勉強を続けないといけないと思います。」「僕の理想の演奏とは、日本でフラメンコに馴染みのない人たちに聞か せる時の演奏とスペインの一流の審査員の前での演奏が矛盾なく重なり合うこと。今回のコンクールには日本のステージで弾く時と同じ心境で臨み、そして聴衆 と審査員に認められる演奏をする、というのが大きな目標です。また、それに向けて自分を一層高めていきたい。」と、コンクール前に意欲を燃やしていた沖。 その想いが今回の日本人初の優勝という結果につながったのだ。

今回の優勝に関して、沖は自身のブログで「とにかく本当にうれしいです。皆さんの応援も感じましたよ!本当にありがとうございます!」と喜びの報告をして いる。

なお沖仁は、7月7日に5枚目となるニューアルバム『Al Toque (アル・トーケ) ~フラメンコの飛翔~』をリリースしたばかり。

「今回は、長い制作期間の中で、自分のあり方、フラメンコのあり方をじっくり見直せました。その中で気づいたのは、フラメンコのルーツは“人が人らしくあ りたい”という願いだ、ということ。かつて迫害を受けたジプシーの思いはそこに集約されており、よりポジティブな形で現在に受け継がれてきています。時代 が激変する中で“人が人らしくありたい”という叫びは、今、日本中にこだましていると思います。だとしたら、今自分が日本でフラメンコギターを発信する意 味はそこにあるはずだと信じて制作をしました。できるだけ機械に頼らずに“人間の輝きにあふれた音”を目指し、フラメンコの原点を見据えながらの2010 年の音楽を作れたと自負しています。 聴いた人が昨日より少しでも元気になってほしい、そして自分自身の力を信じる小さな勇気を見つけてほしい、そんな願いが詰まったアルバムです。」── 沖仁

8月末にはニューアルバムを記念してのコンサートも東京、大阪、名古屋で開催される。本場スペインの聴衆を熱狂させたその情熱的な演奏、世界観をぜひ堪能 してみてはいかがだろうか。

---

フラメンコギタリストの沖仁さんは、このひとつ前の記事の石塚隆充さんとともに、学生時代、一緒にフラメンコを学んだ仲間です。

スペインのカディスという小さな港町で、全員が生まれてはじめてのスペイン滞在。現地でレッスンを受けるために滞在費を節約しようと、一部屋に四つの簡易ベッドを並べて、合宿状態で過ごした夏はもう15年近くも前のこと・・・

近年はすっかり出世されて、YAMAHAのCMに出演したり、平成19年のNHK大河ドラマ「風林火山」では紀行テーマを担当したりと、すっかり有名人になって大活躍されていますが、フラメンコをはじめた当初のたどたどしさ、ひとつひとつ覚えて行ったときの喜び、感動を共有した者として 、この快挙を心から嬉しく思います。

沖仁
http://www.tone.jp/artists/okijin/

0 件のコメント:

コメントを投稿